行ってきました、イスラエル・ガルバン。
17時過ぎにガルロチに向かったら、一階カフェの外でカンタオールとイスラエルがジュースを飲んでのんびりしてた(笑)え!?あと30分で開演なのに??余裕な様子!
あれだけ正確で緻密なコンパス感とパソの技術があれば、何をやっても芸術になり得る。イスラエルが踊れば、何でも許される訳はそこにあるんだろうな、きっと。独自な世界観の中に、アレグリアスやファルーカ、マルティネーテ、ファンダンゴなど、フラメンコ的な要素が垣間見える瞬間が時々現れる、そこがオレ!って感じでした。2つのプログラム、それぞれテーマがあって、見た人それぞれの意見も様々で面白いと思いました。
総じて今回の公演、私はあまり好きではありません。歌が受け入れられなかった。ギターもパルマもないのに、二人のコンパスが完璧に合ってる点は凄い!!歌と踊りの間合いが神業!!しかし、終始きつかったです。内容の割にチケット代が高いと感じたし、入場方法やチケットの買い方も複雑で嫌になってしまいました。友達は土曜と平日2回行くつもりでチケットも買ったけど、一回でいいやって平日の分は誰かに譲ると言ってました。プラグラムのお偉いさんのコメントも持ち上げすぎで、少々気味が悪い。タレントをイメージで固定する頭の悪い日本のマスコミみたいな真似は、フラメンコに不要です。私の印象は、ラフにフラメンコを遊び心満載で試してる少年のようなアーティストという感じです。
私はイスラエルを最初に見た時に衝撃を受けてから、ずっと大ファンです。フラメンコ人生の中でイスラエルにまつわるエピソードはいくつかあります。
・最初に見たのはビエナルで新人賞を獲った時。あのシギリージャは今でも鮮明に覚えてます。シギリージャに全身全霊捧げたせいか、授賞式は体調悪くて本人が出て来れなかった!
・伝説の舞台「マヌエラ・カラスコ La Raiz del Grito」。イスラエルが出演してました。他の出演者全員も舞台の構成もパーフェクトに素晴らしかった。私が今まで見た公演で3本の指に入ります。
・ハビエル・バロン&ラファエル・カンパージョ&イスラエル3人という夢のような舞台。大御所のハビエル・バロンが、若手2人に負けてたまるか!ていう魂が沸々伝わってきて、鳥肌が立ったコンサート。3人のライバル心がバリバリで、それぞれ個性的で良かったな。
実はこの日、コンサート制作でアルティスタとツアーを廻っていた時、ミステラが連れて来ていたギタリストとカンタオールがイスラエルのバックで出演していたので、二人に挨拶に行こうと楽屋潜入を試みました。楽屋に通じる扉の前にguardia(警護員)が居たので、素人が入るのは無理だろうと思ったんだけど、イチかバチか、「¿Puedo entrar ?入ってもいい?」って聞いたら、すごい笑顔で「SiSi! いいよいいよ!」ってドアを開けてくれて、(誰でも入れるじゃん!監視してるのか?)と思いつつ、楽屋裏へ。バックを探しながらコソコソ歩いていたら、ある楽屋の扉が開けっ放しで、そこで目に入ったのが上半身汗まみれで半裸になってるイスラエル!!一瞬、イスラエルと目が合ってしまい、ヤバいと思ってすぐ逃げました。
バックの楽屋は違う階にあり、カンテ・ギターさんに無事会えました。スペインに来てるのか!?ってハグしてくれましたね、嬉しかったです。
そのあとです!!アルティスタの楽屋から帰る途中、カルメン・リナーレスに遭遇したんです!私、カルメン・リナーレスが大好きで、一瞬固まってしまいました。「あなたの大ファンです!」か何か言って握手してもらえば良かったけど、その瞬間はビックリして言葉も出ませんでした。で、カルメンは「なに?」って感じの困惑した表情をしていて、、なんかすみませんでしたって感じで、どうしていいか分からず、また走って逃げました。
・そのコンサートの数週間後、イスラエルがお忍びでセビージャ郊外のペーニャで踊るから行こう!と友人が誘ってくれました。車でしか行けないようなとこで、ラッキーなことに車で連れて行ってもらいました。
ホントにココであのイスラエルが踊るの?ってぐらい小さくて舞台もなく、パイプ椅子が乱雑に置いてあるだけでした。でも、本番始まれば異次元の世界。テアトロでしか見た事が無かったイスラエル、ペーニャで生粋のフラメンコを踊る姿に圧倒されました。一緒に出ていたのが、その後スターとなったラファエラ・カラスコ。今考えると、メチャレアな本番だった。
ペーニャにはイスラエルの父上、ホセ・ガルバンと妹パストーラが来ていました。知人がホセと仲が良かったので、ホセが日本語で「わたし、ホセです。宜しく」と挨拶をしてきた。少しビビった。けど嬉しかった。
・日本に帰国して暫くして、イスラエルの公演がありました。私はスペインで見たイスラエルの情報を師匠や友人に話して、絶対に行くべきだから!って誘いまくりました。
が、しかし・・・日本では別人のようで・・・コンディションが悪かったのか観客が少なかったからか、理由は分からないけど、なんとファルーカの途中で踊りを止めて引っ込んでしまったのです。自分に納得がいかなかったのか??未だに謎。
で、その公演、イスラエルと一緒に来日したパストーラが冴えてて、最終的に妹が凄い!って評判になった。
・それから五年後、久しぶりにイスラエルの公演を見に行った。2001年セビージャのテアトロです。今の舞踊スタイルの片りんが出始めた舞台でした。今は芸風が世間から認められてるけど、当時は全然認知されてなかった。私の後ろに座ってたスペイン人は開始早々、ステージに向かって何かを叫んで出て行ってしまったんです。友達が「酷いスラング叫んでたよ、スペイン人って正直だね。」って言ってました。満員の客席でしたが、後ろの方数列は、いなくなってしまい、公演中もザワザワしてました。その夜は、この舞台の意義をずっと考えて頭の中が混乱してた記憶があります。
イスラエル・ガルバンはどんな状況に置かれても、意思を曲げずストイックに挑戦を続けてるから、凄いです。そういうアルティスタが好きです。
これからも追い続けます。
♪スペイン語ひと口メモ♪
先週、バレンシア地方からグラナダも含め豪雨で死者が出て町も壊滅、まるで津波のような天災が起きました。日本の台風被害と重なり、スペインの災害の酷さにもニュースを見た途端、心臓が止まりそうでした。
スペイン語新聞から
Coches arrastrados, ríos desbordados y muros derrumbados: las imágenes de las lluvias torrenciales
引きずられた車、決壊した川、崩壊した壁、豪雨の映像
las lluvias torrenciales=豪雨