カンタオーラEncarna Anilloと、旦那様でギタリストAndrés Hernández "Pituquete"が11日、ソニアジョーンズでトークショー&ライブを行いました。とっても感動的で、心に響く一日となりました。
ライブはもちろん、アルティスタの生の声が聞ける機会は宝です、心底ありがたいです!!
お二人のフラメンコに寄せる敬意や、プーロフラメンコを伝承する!という強い信念が、私には感じ取れました。Andrésがチリ出身らしく、スペイン出身でない自分がどのようにフラメンコに関わってきたか、という点も興味深かったです。
お二人が口を揃えて言っていたこと。フラメンコをやる上で心がけるべきは、自分の生まれ育った土地や家族を思うこと。そして君たちは君たちの「sentimiento(感情)」を表現すればいい。どの国でフラメンコをやっていようが、月や太陽が世界中の人々に同等に照らされるのと同様、フラメンコも平等に与えられてるという事。
私は不覚でした。踊る時はスペインのイメージを思い浮かべて、ヒターナになりきらないといけないと思ってたところがあります。しかも、自分の故郷や家族にそれほど愛着はない。フラメンコ以前の問題で、私は自分と向き合う事からやり直さないと、どうしようもないことに気付かされました。フラメンコの勉強をする以上に難しい問題ではないかと。
とにかく、エンカルナが故郷カディスについて語り始めると、愛に満ち溢れた柔らかい表情になるのが印象的でした。
あと、最初は無垢な気持ちで取り組んでいても、段々嫌になるし、どう向き合えばいいか分からない時があるけど、「勇気」で紙に包んでそういった気持ちを捨てる努力を続けることで改善される、みたいな事も言ってました。
質問コーナーがあったので、私は思い切って質問させて頂きました。
「外人がフラメンコをする上で壁にぶち当たった時は、恐怖を取り除く努力をしないといけないと言うのはわかるけれども、あなたたちのようなスペイン人のアルティスタでも、スランプになったり壁にあたったりする事はあるのか、それとも好きで楽しくてずっとフラメンコをやっているのか?」
Encarnaの答え・・「いつも怖い。特にファンの前でやる時は恐れでいっぱい。けど、素晴らしい故郷と家族や友達がいるから、心の支えになっている」
そっか、、トークの最中、普段の生活がいかに大切かというような事にも言及してたので、最終的には生活や人間性だな、というのが私の感想です。
多分、真摯にフラメンコに取り組んでる方こそ、畏怖の念を抱いてるに違いないと確信しました。恐れがないと真実には辿り着かないんでしょう。その点で言えば、もしかしたらコンプレックスの塊のような自分だからこそ、今まで続けてこれてるのかもしれない。決して答えは出ないだろうけど。
他のスペイン人アルティスタの言葉も思い出しました。「舞台の時に緊張するのは、プーロだからこそだよ」。
それから、今回のトークの中で印象に残ったエンカルナの言葉、
「Hay que volver al origen」=最初に戻らなければならない。
純粋な気持ちを忘れない為に、常に始めに戻ると言ってました。
「sentimiento」=この言葉を沢山使ってました。頭で考えるより、感情を表に出して!と。
これら全て、フラメンコの基本中の基本だけど、忘れてる人は多い。それに、外国人がフラメンコに関わるとコンパスという問題にぶち当たり、わけがわからなくなる。では、その時にどうしたらいいのか?前記した彼女たちの言葉がヒントになると思います。
トーク終了後、alegriasとbuleriaのライブがありました。言葉通りsentimientoでいっぱい、アイレたっぷり。ブレリアは少し踊りながら歌っていたのですが、踊り手より上手いでしょ!15分程度でしたが、高額な商業ベースのコンサートを3時間見るより、よっぽど価値があった。時間の長さではない。一瞬ハッとする瞬間が伝わるフラメンコがあれば、余は満足じゃ。
今回、スイス在住の踊り手さん、林結花さんがエンカルナを招聘されたのですが、林さんの本当に良いフラメンコを知ってもらいたい!という熱い思いがダイレクトに伝わってきて、心を動かされました。
この会に参加できて心が軽くなったし、とにかく楽しかった。沢山のエネルギーを貰いました。
林さんには感謝しかありません。
最後に興味深い話。中南米、特にブラジルでクルシージョやっても、みんなフラメンコに対して怖がっていて、ビックリしたらしいです。ブラジルはラテンの中でも一番ノリノリで明るいイメージだしフラメンコにも迷いなくガッついてやってるかと思いきや、日本人みたいに萎縮しちゃうんだって。意外と、どこの国も同じなのね。